【妊活調査2021】8453名の回答から見える「コロナ禍の妊活」

【妊活調査2021】
8453名の回答から見える「コロナ禍の妊活」

妊娠・出産インフォ

政府は今年6月に発表した報告書(※)の中で、新型コロナウイルス感染症の流行は将来への不安となり、日本の少子化をますます加速させたと述べています。そんな中で赤ちゃんを望み、妊活に取り組んだプレママ・プレパパはどんな経験をしたのでしょうか。

ミキハウスでは、今年4月に「ミキハウスベビークラブ」の会員を対象に「コロナ禍の妊活」についてのアンケート調査を行いました。回答を寄せてくださった8,453名の方の「コロナ禍の妊活」の実態を2017年に行った同様の調査結果とも比較しながら紹介していきましょう。

(調査概要)

妊活アンケート調査概要

今回の調査の回答者を年齢別に見ると、29歳以下の方が30.7%、30歳~39歳が63.3%、40歳以上が6%となっています。ちなみに2017年の調査でも、29歳以下30.4%、30歳~39歳62.6%、40歳以上は6.9%とほとんど同じような年齢構成でした。

(graph2)

妊活アンケート 回答者の年齢

妊活を始める年齢は女性、男性ともに25~35歳が多数派です

妊活を始める年齢は女性、男性ともに25~35歳が多数派です

最初に「妊活をしたことがありますか?」と質問をみました。「したことがある」と答えたのは、2021年は73.5%で、2017年の56.1%から大きく増加しています。妊娠を望むなら、「成り行きに任せてしばらく様子を見よう」ではなく、「ふたりで積極的に妊活に取り組もう」という意識が高まっているように見えます。

(graph3)

妊活アンケート 妊活をしたことがありますか?

それでは妊活のきっかけはどんなことだったのでしょう。「妊活を始めたきっかけ」で一番多かった答えは、2021年、2017年ともに「年齢が気になり始めた」で、どちらの年も60%を超えています。

第2位は「まわりや家族など、親しい人の妊娠や出産」で、2021年では36.7%、2017年は25.3%です。年齢が気になり始めた頃に、兄弟姉妹や友人の妊娠・出産が重なると、妊活を本気で考えるようになるという傾向が見られます。

第3位以下には「パートナー(配偶者)からの要望」、「両親からの要望」、「テレビやSNSなどからの著名人の妊娠・出産の情報」と続きます。

注目すべきは、2021年には2%の方が「新型コロナウイルスによる意識の変化」をあげた点です。コロナ禍で妊娠を控えたのではなく、コロナ禍だからこそ妊娠を望んだカップルもいたことが伺えます。

2021年の「経済的な不安が解消した」(1.3%)、2017年の「行政が補助制度を開始したから」(0.5%)の回答からは、子育てへの金銭的な負担感が垣間見えます。

(graph4)

妊活アンケート 妊活をはじめたきっかけ

それでは妊活を始めたきっかけで一番多かった「年齢が気になり始めた」とは、何歳ぐらいなのでしょうか。そこで「妊活を始めた年齢を教えてください」という質問をしてみました。

(graph5)

妊活アンケート 妊活を始めた年齢

妊活を始めた年齢は、プレママの場合は25歳~29歳が最も多く43.9%、プレパパは30歳~34歳が36%で最多です。プレママ、プレパパともに25歳~34歳までに始めた方が多いということから、医学的にも妊娠・出産の適齢期と言われる20代後半から30代前半までに赤ちゃんが欲しいと考えているカップルが多いと見ることができます。

基礎体温をつけ、タイミング法を試すことから始めています

基礎体温をつけ、タイミング法を試すことから始めています

プレママ・プレパパは妊活をどんなことから始めるのでしょうか。「妊活を始めた時に取り組んだこと」で最も多かった回答は、「基礎体温をつける」(76.3%)です。「葉酸など妊婦に必要な栄養素を積極的に摂る」(72.9%)、「からだを冷やさないようにする」(52.8%)、「婦人科、産婦人科、不妊治療専門病院などに通う」(52.8%)と続きますが、少数派ながら「新型コロナウイルスに対する感染症対策を強化する」(9%)という回答もありました。

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妊活アンケート 妊活を始めたときに取り組んだこと

「妊活をする上で参考にした情報源を教えてください」に対する回答で飛び抜けて多かったのは「デジタルメディア(ネットニュース、SNS、ブログなど)」の81.7%。「信頼している医師(直接相談できる)」(30.5%)、「親や家族、知人など親しい人」(26.6%)などリアルな人間関係からの情報を頼りにする人も少なくないようです。

(graph7)

妊活アンケート 妊活をする上で参考にした情報源

さて、実際の不妊治療はどんな方法が行われているのでしょう。「試した不妊治療法を教えてください」と尋ねると、2021年、2017年ともに「タイミング法」が最も多く、どちらも90%近くになっていますが、「人工授精」、「体外受精」、「顕微授精」を受けた人の割合が2021年に減少しているのは、コロナ禍で医療機関に行きにくくなったことが影響しているかもしれません。

(graph8)

妊活アンケート 試した不妊治療法

不妊治療で気になるのは、いくらぐらい治療費がかかるのかということ。ちなみに医師の指導を受けてタイミング法を行った場合の費用は1回数千~2万円ぐらい、人工授精では1回1~3万円、体外受精や顕微授精になると1回20~70万円というのがおおよその治療費と言われています。

(graph9)

妊活アンケート 妊活にかかった費用

「0円」(23.0%)は、医療機関に行く前に妊娠したケースでしょう。続く「~9.9万」が最も多く、45.4%ですから、全体の68.4%は妊活の費用が10万円以下ということになります。100万円以上のケースは計15.4%となっていて、不妊治療を何度も繰り返すカップルもいることを示しています。

(graph10)

妊活アンケート 院活に要した期間

妊活を始めてから妊娠するまでに要した期間については、ひとり目の子どもの場合、2021年は1年未満が65.3%、1~3年は計26.4%、3年以上かかったというケースが計8.4%となっています。2017年を見ると、1年未満は55.1%、1~3年が計33.9%で残りの11%の方は3年以上ですから、妊活の期間は短くなっているようです。

孤独を感じがちな妊活。コロナ禍で感じたパートナーの理解と思いやり

2021年の調査で「妊活をした」と答えた6,258人に「妊娠中につらかったこと、ストレスはありましたか?」と尋ねたところ、65.6%にあたる4104人の方が「はい」と答えています。

妊活中につらさやストレスを感じたのは以下のケース。

「生理がきたとき(妊娠していないのが分かったとき)」(90.5%)
「家族や知人の妊娠・出産報告」(56.8%)
「まわりの人から『赤ちゃんはまだ?』などと聞かれたとき」(37.3%)
「テレビやSNSなどで、著名人の妊娠・出産のニュースを目にしたとき」(36.7%)
「仕事との両立が難しかったとき」(35.1%)
「パートナーの理解を得られていないと感じたとき」(31.9%)
「孤独を感じたとき」(25.2%)

この他に、「テレビや新聞、ネットニュースなどで新型コロナウイルスに関する不安なニュースを見たとき」と答えている人も5.7%いて、コロナ禍の不安感は妊活にも影響しているようです。

(graph11)

妊活アンケート 妊活中につらさやストレスを感じたのはどんなとき

つらい妊活を乗り越えていくために必要なものとして、多くの方があげたのが、“パートナーとのいい関係”です。「つらいことがあったら、正直に打ち明ける」、「相手にわかるように、重荷を感じさせないように、尊厳を傷つけないようにする」、「自分自身悩みすぎないようにした」など、経験者ならではのコメントは、これから妊活を始める方の参考になりそうです。

(graph12)

妊活アンケート 妊活中、パートナーとのコミュニケーションで気をつけたこと

アンケート結果が示す「コロナ禍の妊活」の実態をどうとらえたらいいのでしょうか。そこで、これまで内閣官房参与として政府の少子化政策に深く関わってきた慶應義塾大学名誉教授で産婦人科医の吉村泰典先生に分析していただきました。

3-dr

――まず今回のアンケート結果をご覧になって感じたことを教えてください。

「やはり、コロナ禍の影響が大きくあらわれていると思います。例えば、『試した不妊治療法を教えてください』の回答を2021年と2017年で比較したグラフを見ると、人工授精、体外受精、顕微授精などの治療を受ける方の比率がかなり減っているし、『妊活に要した期間を教えてください』では、2021年の方が妊活に時間をかけていない傾向もあるようです。

つまりコロナ禍で経済的な負担感や子育てへの不安が大きくなり、何年も妊活してお金をかけてでも子どもを欲しい思わなくなった、妊活をあきらめてしまった人も多いのかもしれないですね。」(吉村先生)

――事実、出生率は激減しております。2021年の日本の出生数は70万人台になるとの予測もありますね。

(graph13)

日本の出生数の推移

「もちろん諸外国でもコロナ禍で出生率が減少しましたが、日本ほどではありません。新型コロナの流行は、図らずも日本が長年抱えていた社会問題を浮き彫りにしたのではないでしょうか。私は長年、政府の子育て支援制度の策定に関わってきて、日本には海外に比べても充実した制度があると自負しています。でも制度だけでは若い世代が子どもを育てたいと思う社会にはならないのも事実」

――先生が語る、若い世代が子ども育てたいと思う社会とは、どのようなものでしょうか。

「多様性を認める社会、マイノリティ(少数派)が暮らしやすい社会です。つまり、不妊に悩む人はもちろんのこと、LGBT、単身、移民の方々にとっても安心して子育てができるような社会を構築することです。どんな人でもあっても、子どもに恵まれるチャンスがあり、子育て世代の不安が小さくなる社会をつくっていかなければいけないと思います。政治家のみなさんにこういうことを言うと、そんな抽象的なことを言うなと注意をされるのですが、今必要なのは制度だけの議論ではない、心の通った議論。少数派の声に耳を傾けた温度の感じられる対話です」(吉村先生)

――そうした対話の先に、子ども育てたいと思う社会があると。

「そう思います。子どもを望む人を増やすためには、社会の意識が変わらなくてはならない。今のままではダメなのは誰もがわかっているはず。だったら、どうやって変えていかなければいけないか。粛々と制度設計を続けるだけでは、この国は変わっていかないと私は思います」

孤独を感じがちなコロナ禍に、妊活を通して実感したパートナーとの絆

孤独を感じがちなコロナ禍に、妊活を通して実感したパートナーとの絆

コロナ禍により、妊活に前向きになれなかった人もいるかもしれませんが、一方でアンケートからは、こんな時期だからこそ妊活をしてよかった、という先輩ママ・パパの声も多数届いています。

そこで最後に、先輩ママ・パパから、これから妊活を始めたいと思っているプレママ・プレパパへのメッセージを紹介します。コロナ禍の中でパートナーと心をひとつにして妊活を乗り越えたみなさんのエールは、きっとプレママ・プレパパを勇気づけてくれることでしょう。

 

  • 「コロナ禍で不安がいっぱいの時期ではありましたが、あまりコロナを気にせず妊活を続けたら、タイミング法を始めて半年で妊娠できました。 妊活中にかかりつけの婦人科の先生が、親身に話を聞いてくださったのが心の救いでした。不妊治療の病院だけでなく、信頼しているお医者さんに相談するのもありかと思います!」(妊活開始年齢31歳/現在32歳 ママ)
  • 「コロナになる前は、週末は一緒にクリニックに通い、帰りはデートを楽しんでいました。 約3年ととても長い妊活でしたが、諦めなくてよかった。 旦那がとにかく協力的でした」(妊活開始年齢34歳/現在38歳 ママ)
  • 「妊活期間は夫とたくさん議論しました。お互いに思いをぶつけ合えた、いい機会だったように思います。 コロナ禍で妊活中の女性は特に孤独を感じてしまうのではないかと思いますが、同じような仲間は世の中にたくさんいます!充実した妊活期間となりますように!」(妊活開始年齢32歳/現在35歳 ママ)
  • 「コロナで一度諦めた時に妊娠しました!妊活だけに必死にならず、生活を楽しみながら、妊活できるといいなと思います!」(妊活開始年齢31歳/現在38 歳ママ)
  • 「いまコロナ禍で妊娠を望まない人も多くいると思いますが、私は昨年出産を経験し、コロナ禍で暗いニュースが多い中でも我が家にとっては明るく幸せな年になりました」(妊活開始年齢31歳/32歳 ママ)
  • 「1回目の緊急事態宣言の時、病院から妊活自粛の案内があってすごく落ち込みました。でもこの機会にたくさん話し合ったし、お互いを思いやることができました。 薬の副作用で情緒が不安定だった私は、生理が来るたびに泣いていましたが、夫が明るく寄り添ってくれたので乗り越えられたと思います。 結婚10年目でやっと夫婦になったんだな、と実感しました」(妊活開始年齢36歳/41歳 ママ)
  • 「妊活は本当に苦しいです。病院に行こうと考えていた矢先にコロナ禍となりました。幸い、一年近くタイミング法を続けて授かることができましたが、それも一緒に前を向いて毎月寄り添ってくれた夫のおかげです」(妊活開始年齢32歳/現在33歳 ママ)
  • 「妊娠期間中はつわりなどで大変ですが、生まれた我が子は本当に天使のように可愛いです。 つらいこともたくさんあると思いますが、その分幸せなこともたくさんあります。 コロナ禍での出産は孤独でしたが、良い経験になりました!」(妊活開始年齢29歳/31歳 ママ)

意思を持って妊活に取り組み、苦労を乗り越えたふたりだからこそ感じる喜びや幸せもあるはず。コロナ禍で在宅時間が長くなった今、子育てもふたりでお互いを思いやりながら楽しめるといいですね。赤ちゃんを望むすべてのママ・パパにハッピーな時間が訪れますように!

 

〈参考資料〉
(※)令和2年度 少子化の状況及び少子化への対処施策の概況(概要<HTML形式>): 子ども・子育て本部 – 内閣府 (cao.go.jp)

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