I: 改めて、アトピー性皮膚炎の診断基準について教えていただけますでしょうか。
山本先生:当センターでは診断に際して、世界的に広く採用されているUKWP(The U.K. Working Party)の基準を用いています。この基準なら新生児期からの早期発見も可能です。
以下の「大基準」の症状があって、かつ5つある「小基準」のうち3つ以上あてはまるなら、アトピー性皮膚炎ということになります。
UKWPの診断基準
I:アトピー性皮膚炎を早く見つけるために、ママ・パパは赤ちゃんがかゆがっていないかをよく観察したほうが良さそうですね。何をしても泣きやまないという時にはかゆみを訴えていると考えることもできそうです。
山本先生:何度も繰り返して現れる強いかゆみがアトピー性皮膚炎の特徴ですからね。以前の記事でもお話しましたけれど、乳児期早期に湿疹があると食物アレルギーのリスクが高まります。食物アレルギーの原因となる物質「アレルゲン」は、赤ちゃんを取り巻く環境に存在しています。そんな環境下で、アトピー性皮膚炎を悪化させて肌のバリア機能が低下してしまうと、肌からアレルゲンが入り、食物アレルギーを引き起こししてしまう。
I:「経皮感作」というものですね?
山本先生:はい。アトピー性皮膚炎は、その後次々と起きるアレルギー性疾患=「アレルギーマーチ」の入り口になることもあるというお話をさせてもらいました。詳しくは当該記事をお読みいただきたいと思いますが、だからこそ早期の治療が必要なんです。
アトピー性皮膚炎と診断されたら、抗炎症作用のあるステロイドの軟膏が処方されます。軽い湿疹ならそれですぐによくなります。アトピー性皮膚炎は早期発見・早期治療で炎症をうまくコントロールできれば、症状を抑えていくのは難しくないんです。