その乳児湿疹、アトピーかも!? 
専門医が指摘する、赤ちゃんのアトピー性皮膚炎と「早期介入」の重要性

2022.07.07

ミキハウス編集部

症状が治まらないなら、悪化因子がないか考えてみましょう

山本先生:ちなみに学童期に当センターに入院してくるお子さんにも適切な治療が受けられずに悪化してしまった子どもたちもたくさんいます。もちろんダニやストレス、花粉、汗、ペットなどのさまざまな原因でアトピー性疾患が悪化してしまうことがあるので、不十分な治療だけのせいではないのですが。

もし適切な治療をしても、お子さんの症状がよくならないようなら、下のような悪化因子がないかチェックした上で、医師に相談していただきたいです。

アトピー性皮膚炎の悪化因子はありませんか?

山本先生:ちなみに湿疹がなくなったところに、寛解維持療法(湿疹のない状態を維持する治療)として少しずつ塗布回数を減らしていく治療法を「プロアクティブ療法」と言いますが、中等症以上のアトピー性皮膚炎の治療にはこの方法が一番いいです。ただ現状、この治療法が普及していないのが問題です。

I:そうなんですか。

山本先生:アトピー性皮膚炎の治療については、適切な治療を受けられて、ご家庭でもしっかり治療できたらほとんどの場合はよくなります。乳児期早期発症しても湿疹もよくなるし、その後の食物アレルギーの発症も抑えられるんです。でも、現実は、ちゃんとした治療を受けられずに悪化させて、食物アレルギーまで引き起こしてしまっているケースがとても多い。この問題をどうにかしたいと考えています。


I:ちゃんと指導・治療してくれる先生はどうやって見つけたらいいのでしょうか?

山本先生:当センターに来ていただければ間違いありませんが、当センターの“卒業生”や外部から研修を受けに来られた先生もいらっしゃいます。みなさん、ここで学んだことを活かして各地域でアトピー性皮膚炎の治療に取り組んでおられます。当センターでプロアクティブ療法を学ばれた先生(病院)のリストを公開していますので、どこの病院に行ったらいいか分からないという方は参考になさってください。

I:それは便利ですね!

山本先生:アトピー性皮膚炎は将来のアレルギー性疾患の原因となるだけでなく、悪化すると日常生活にも支障をきたすやっかいな病気です。この病気で苦しむお子さんがひとりもいなくなるように、新しい研究に取り組み、そこで開発した最新の治療を広めていくのが私たちの責務だと感じています。最近は様々な新薬が開発されてきています。ステロイド外用薬以外のお薬も選択肢がでてきました。

繰り返しますが、乳児期からの早期発見・早期介入はアトピー性皮膚炎やアレルギー疾患を予防したり、悪化を防ぐために非常に有効です。新生児でも湿疹を見つけたら、「大したことない」と決めつけずに、まずは医師に相談してください。

I:乳児期早期でもアトピー性皮膚炎が発症する可能性があること、でもそれは見過ごされることが多く、適切な治療が遅れることで悪化させるケースも散見されること。今まで知らなかった新生児や乳幼児の乳児湿疹やアトピー性皮膚炎についての解像度が随分上がったように思います! これからも日ごろからスキンケアをして、子どもの皮膚の異変にすぐに気付けるようになっていたいと思います。今日はいいお話をありがとうございました。


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